引きこもりが一人であじびに

zone1969jp2007-09-22

相方がまたもや出張でいないため、引きこもりが再度博多へ出向きました。

アーティスト・イン・レジデンス アーティストトーク 2期
福岡アジア美術館 あじびホール
9月22日 16時〜
シャーマン・オン・べン・アン Sherman Ong Beng Ann (マレーシア)
【レポート】
 写真及び映像を制作。今までレジデンスで様々な国を渡り歩いているらしく、レジデンスの意義、主旨と自身の作品の根幹がうまく合致しているように感じた。ファインダーを通した彼の眼には、きっとその国の特徴を捉える鋭い勘が存在するのであろう。福岡でどんな作品を作るのか、非常に楽しみな作家だ。また、ベトナムハノイでの5分ほどの映像作品が流れたが、その内容は食用の犬を絞めるものであり、「頭を打て!頭を打て!」という人の言葉と犬の断末魔の声とが会場に響き渡り、かなりの衝撃だった。次の画面にはすでに茹で上がった犬が映り、これが人の営みの原点なのだとあらためて感じさせられた。どんなに表向きの表情が残酷であろうとも、スーパーのパック詰めの肉片に慣れきった私たちは、この現実から眼を背けてはいけないのではないかと思う。正直、まばたきさえも忘れてしまうほどの映像だった。これほど今の日本の私たちの生活と「生」「死」の現実は切り離されているのだ。
アブダス・サラム Abudus Salam (バングラデシュ)
【レポート】
 これまでの作品を延々と見せられただけで、ではこれから福岡に滞在して何をしたいのかが、ちょっとよくわからなかったのが残念。質疑応答で誰も手を挙げることができなかったのは致し方ないことだと思う。よく調べたらこの人は第3回福岡アジア美術トリエンナーレの招待作家だった。なるほど、それでプレゼンのときにスライドを見せながら「この作品は皆さんもご存知かと思いますが」と言っていたのだ。でも私のような流れ者もいて、私は全然あなたのことも作品も知らないのだ。もっといろいろな人に親切なプレゼンをしてほしかった。成果展に期待。


ちひろとアジアの絵本作家たち
福岡アジア美術館 企画ギャラリー
2007年8月25日(土)−9月25日(火)
【レポート】
 いわさきちひろといえば、学校の教科書や絵本などでよく知っていたが、印刷物しか見たことがなかった。今回、原画をはじめて見て、その色彩の美しさに圧倒されてしまった。なんと繊細な色づかいをし、力強く鉛筆で輪郭を描いているのか、まじまじと見て真剣に感動してしまった。この人の絵は印刷物なんかより、原画のほうが断然よい。原画を見てしまうと、印刷物がなんとちゃちいことか。また、初期の頃のデッサンの数々はいわさきちひろの原点を見るようで、とても興味深い。(雪)