森村泰昌 美の教室、静聴せよ

zone1969jp2007-07-08

森村泰昌 美の教室、静聴せよ
熊本市現代美術館

2007年3月24日(土)−7月8日(日)
【詳細】
 森村センセイによる美術の授業を音声ガイド(無料貸し出し)によって聞きながら鑑賞していく。美術館の展示室はそれぞれホームルームからはじまり、1時間目、2時間目と展開し、放課後の「ミシマルーム」へとつづく。ホームルームの展示室は小学校低学年くらいの教室を模したような形になっており、机や教卓、黒板が置かれている。黒板には鑑賞の手順が記されている。
【レポート】
 森村泰昌による「美術教育」を考えた展示、ということで見に行った。内容は1時間目から6時間目まで、自身の作品を解体してみせ、音声ガイドによって解説を加えている。いわば、作家の手の内を見せた、作家による展示型の作品解説を見ているようだ。ただ、「美術教育=学校の教室」という安直な発想はやや興ざめがした。また、内容を見る限り、親子の来館しやすい夏休みに展示をする等展示期間にも一考の余地はなかっただろうか。
 放課後の「ミシマルーム」では「ミシマ」に扮した森村が、マスコミに踊らされた今日の表現(芸術作品)や売名行為、個人を否定する表現への憧れを糾弾する演説を繰り広げるが、その「ミシマ」の演説には実はまったく聴衆がいないというオチということで自身へのメッセージだと受け取ることもでき、この作品は興味深く見ることができた。全体的にはただ作品を整然と並べた「森村泰昌展」よりははるかに見ごたえのある内容といえよう。(雪)

元田久治
熊本市現代美術館 ギャラリーⅢ

2007年5月30日(水)−7月29日(日)
【レポート】
 都市のシンボル的建造物が廃墟のように描かれている病んだ感じは面白いと思ったが、果たして手法を版画に限定して表現する必要性があるのかは疑問。(雪)