昨年を振り返って

zone1969jp2007-01-15

 この日記は昨年10月から始められました。思えば10月までは転居等の家庭内の事情であっという間に過ぎていってしまい、落ち着いてアートを楽しむ、アートについて思いをめぐらすことが難しい状況にあったと思います。しかしながら10月からのPlus A.G.は加速度的にアートについての考察を行うことができたのではないでしょうか。
 2006年、最も大きかった出来事は、北九州市立美術館学芸員の花田伸一さんとの出会いでしょう。この方との出会いがなければ、我々の九州での活動は地に足の着いたものにはなり得なかったでしょう。本当に心より感謝申し上げます。
 ちょっと遅い感は否めませんが、2006年の総括を私なりにしてみたいと思います。
・徳島と北九州の土壌の違い
当然といえば当然ですが、中心部へのアクセスの良さがまず挙げられます。そのため、思わぬいい展覧会に出会ったりするという嬉しいハプニングもありました。徳島で一番心に残った展覧会は徳島県立近代美術館の「ゲルハルト・リヒター展」で、あとは香川県丸亀市にある猪熊弦一郎現代美術館での展覧会に集約されてしまいますが、北九州や福岡はギャラリーや美術館の数が圧倒的に違い、特に福岡のアジア美術館や大宰府九州国立博物館ではとてもいい作品にいくつも出会うことができました。
・企画するWSから参加するWSへ
徳島ではワークショップは企画・運営する側でした。こちらにはいくつも参加できるワークショップがあり、参加してみてわかることもたくさんありました。その点で、今後企画運営するうえでの勉強をたくさんさせていただきました。
・現代美術や「今」に通ずるアートが近い
福岡、北九州は言うまでもありませんが、九州全体に現代に通づるアート施設が点在していて、まだまだ調査の余地があり、楽しみがたくさんあります。また、東京や大阪といった中心部への意識も若干異なってきたように思いますがこれは理屈ではないので説明はできないのが辛いところです。さらに直島へ行ったことは大きな経験となったように思います。徳島のアート過疎地から見た直島と、福岡から見た直島とでは、年数の関係もありますがかなり違った印象を受けました。これは私にとってはかなり大きな体験となりました。
・歴史がものをいう土地
ここは「歴史」といったものを踏まえずにはなかなか捉えにくい土地です。徳島にももちろん歴史はありますが、俯瞰的に見て「知りたい、学びたい」と思う土地に来ることができたことを幸運に思います。特に北九州の炭鉱と製鉄との二重になった構造を生きる人々の歴史と、長崎の南蛮と原爆の二重構造の歴史は非常に興味深いものでした。

 簡単ですが2006年をこのように振り返りました。2007年もアートとエデュケーションを引き続き考えていきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。(雪)
《写真は長崎二十六聖人殉教地の石碑》