アート徒然考6 最近私は展覧会が面白くない

 この5月は一回も展覧会に出かけなかった。本の入稿作業に追われてそれどころではないというのもあったが、私自身、本当に個人的な感覚なのだが「面白そうだ」または「魅力的だ」と思える展覧会がなかったことも原因のひとつだ。アートプロジェクトを立ち上げていろいろなことをしたり、企画展示をしたり、いわゆるアーティストと呼ばれる人たちの個展であったり、そういうもののひとつひとつがなんだか肩に力が入っていて、頑張っていらっしゃる方には大変申し訳ないがこちらのほうが疲れてしまう。なぜこんなことを思うようになったのだろう。
 私は今、はてな以外にもブログを持っているがそこでいわゆる「アマチュア」と呼ばれる、アートの文脈の上では決して語られることのない人々のリアルで恥ずかしいくらい生な感覚の写真を時折ではあるけど見かけることがある。だがこちらのほうがよほど今の私の感覚に近いものであり、引きこもりを一層増徴させているようにも思える。(写真に限られたことだけど。)誰が見るとも知れない自分のブログにせっせと画像を載せていく行為は、声高に「美術館へ行きましょう」とか「個展に来てください」と大声で宣伝されることもなく、静かに静かに行なわれる。
 わざわざ出かけて行って見る「展覧会」ってなんだろう。「作家」ってなんだろう。作家の卵たちが展覧会を開くために売り込みを一生懸命するけど、その先には一体なにがあるのだろう。少なくとも今の私にはそういったことの先になにがあるのか、全く見えなくなってしまった。今度はそれを確かめにせっせと出かけることになるのかもしれないけど。見に行ったら「やっぱりインスタレーションっていいな」とか「平面っていいな」とか素直に思えるんだろうか。それともなんだか見た目だけきれいな加工食品を食わされている気分になるんだろうか。(雪)