博多いろいろ

zone1969jp2007-08-04

第8回 アーティスト・イン・レジデンスの成果展 パート1
2007年7月21日(土)−8月5日(日)
福岡アジア美術館
キム・イルグン Kim Ilgeun
夢想的な風景 A Dream-like Scene
展示会場 美術情報コーナー
プッティポン・アルーンペン Phuttiphong Aroonpheng
みんな知り合い We all know each other
展示会場 彫刻ラウンジ、アジアギャラリーA

【レポート】
 5月12日にアーティスト・トークを行った今年度のレジデンスの作家の成果展。見に行った日がちょうど同時開催の「おいでよ!絵本ミュージアム」と重なっていたため、普段のアジア美術館よりも子どもの数が多かった。そして美術館に慣れていない保護者に連れられて(というか、ほとんど引っ張られて)子どもが踏む、蹴つまづく、触りまくる。イルグン氏のボール紙でできた汽車を乗せたレールは(これもボール紙)足跡だらけで、最終日とはいえちょっと気の毒になった。まああんまり美術作品ですよ、と言ってありがたがって見るものでもないのでいいかなとも思ったが。こういう絵本の展覧会で親子やおじいちゃんおばあちゃんも美術館にもっと足を運んでください、というところだろうか。おそらくイルグン氏の作品が楽しげな汽車の工作に見えたので遊具感覚で親子がはしゃいだのではなかろうか。
 一方、アールンペン氏の「みんな知り合い」は人生数珠繋ぎっぽくて面白かった。全部の映像を見ることは時間的に許されなかったが、少なくともこの人の作品は「その土地に出向いていって制作する」ことの意義が感じられやすい作品なのだと思う。途中に出てきた巫女さんや神職の男性をカメラに収めることができたことは氏にとっても収穫が大きかったのではなかろうか。ちょうど山笠のシーズンだったのもよかったのかもしれない。
 レジデンス(滞在制作)ということはその土地に行ってしか作れないもののほうが、個人的には面白いと感じる。こだわりの素材、こだわりの技法があることは大いに結構だが、せっかくのレジデンス制度なのでその土地の面白さをもっと利用したほうが有意義なのでは、と感じた。

おいでよ!絵本ミュージアム
2007年8月2日(木)−8月19日(日)
企画ギャラリー

【レポート】
 子どもの頃に「絵本を与え読み聞かせる」という情操教育を受けていなかったためか、「ぐりとぐら」が心にヒットする以外は懐かしさも思い入れもあまり感じられず、そんな自分が非常に残念。子どもはこういったものに夢中になるのか、とキャーキャーはしゃぐ子どもたちを眺めながら改めて感じた次第。つまらない大人ですみません。いや、いつだって絵本は素晴らしいのです。一緒に行った相棒は長新太氏の「ごろごろにゃーん」が気に入っていた模様。

ポップ魂−現代美術と大衆文化−
2007年6月28日(木)−10月2日(火)
アジアギャラリーA

【レポート】
 映像作品が特に顕著だが、お笑い芸人のやっていることと大差はない。が、「おいでよ!絵本ミュージアム」から流れてくる鑑賞者もちらほらで、大人たちは大して楽しんでいる様子もなくちょっと残念に思う。子どもは体感型のアート作品ですぐに遊んでいた。子どもには境目はないらしい。

ようこそ、物語の森へ
2007年6月21日(木)−9月4日(火)
アジアギャラリーB


サラウ・チャティウォングペティ アーティスト・イン・レジデンス
Sarawut Chutiwongpeti:recent works

2007年7月31日(火)−8月5日(日)
アートスペーステトラ
企画・主催 in-between

【レポート】
 三方向に設置されたスクリーンに寄ったり引いたり(こんな言葉しか見つからなくてすみません)しながら同じ風景がぼんやりと青白く映し出される。個人的にはちょっとぼんやりしすぎかな、と思う。会場の大きさとスクリーン、ピントの関係が微妙に居心地悪い感じ。10月の成果展に期待。


野村佐紀子 写真展『ポラロイドの記憶』
2007年7月30日(月)−8月12日(日)
アートスペース獏

【レポート】
 小さな黒縁の額に入った、ぼんやりとした意味深なポラは1点が2万円。でも1点だけ買ったのではなんだか口惜しい感じがする(つまりもっと飾りたいのだが金銭的不動産的諸問題が発生する)。壁面に飾られたたくさんの美しい作品を見つつも、何気なく床に置かれた荒木経惟からの花にビビる権威主義な自分が嫌い。(雪)