北九州デイリーライフ 小学校でのWS

レオ・ファンダークレイ氏のワークショップについてレポートいたします。WSの概要は以下のとおりです。(開催要旨を参照の上,記述)

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レオ・ファンダークレイ写真展「北九州デイリーライフ2006」関連ワークショップ

講 師 レオ・ファンダークレイ(写真家、オランダ在住)
場 所 北九州市立西門司小学校
日 時 2006年10月2日(月) 9:00-15:00
対 象 西門司小学校4年生3クラス (98名)
主 催 北九州デイリーライフ2006展実行委員会
内 容
18グループに分かれ、グループ毎にデジカメを準備。各グループ内の生徒が交代で計24枚、自分たちで決めたストーリーにあうような校内の場所を撮影する。撮影した後、グループの写真を見ながら感想カードに記入。その後そのグループのストーリーを発表。ワークショップで撮影した写真は,旧百三十銀行ギャラリーにて展示(プロジェクターで投影)。
スケジュール
1限 9:00- レオの自己紹介とワークショップの説明(4F音楽室にて)
2限 9:40- 子供たちが班ごとに写真を撮ってくる(小学校内,敷地内,自由に撮影)
3限10:45- 子供たちは通常授業/スタッフ数名は編集作業
4限11:35- 発表(4F音楽室にて)
昼休み12:20-
5限14:10- 発表(4F音楽室にて)

当日スタッフ/通訳1名,サポートスタッフ10名,見学者1名

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活動から,私が注目したことは以下の二点です。
①撮影のテーマを自分たちで考えることの大切さと教師による支援の重要性
②アーティスト=訪問者がつくりだす時空間

①撮影のテーマを自分たちで考えることの大切さと教師の支援の重要性,について
今回,見学させて頂いたWSで印象に残ったのでは,レオが,特に写真の撮影に関するリクエストをしなかったということです。WSの導入部で,彼の写真をプロジェクターで投影し,子どもたちに見てもらい,彼のテーマである,「デイリーライフ=日常」について簡単な説明をしていましたが, 「どこを撮ろう?」「どうやって撮ろう?」ということは,すべて子どもたちの判断に ゆだねられていました。
撮影後の発表・鑑賞の時間につながるのですが,子どもたちは,教師からの提案で,グループごとの活動テーマを事前に考え,また,活動中にもテーマを変化させながら撮影に取り組んでいました。教師からの提案,設定は以下の通りです。
『わたしたちもカメラマンになってみよう。「わたしたちの西門司小学校」』
そして教師が提示した撮影テーマの例は,「えがお」「赤の世界」等です。
今回のWSでは,教師の役割がとても大きく,とても機能していました。そして教師が,WSの内容を「学校化=子どもらしさの強要,価値基準への介入等」するのではなく,あくまで,レオが期待していた,子どもたち自身による気づき,能動的な活動を支援しようとしていた点がとても印象的でした。教師が,WSのコンセプトを理解し,協力的ならば,こんなにも子どもたちは,楽しく,また,集中力を継続するのかと感心してしまいました。
子どもたちがみつけ,考えたテーマは次の通りです。
「いろんな色」「自然」「植物」「花」「笑顔」「「みんなのやる気」「勉強」「いろいろな部屋」等です。
今回のWSにおいて,子どもの写真の面白さを,改めて確認することができました。

②アーティスト=訪問者がつくりだす時空間,について
レオは,非常に気さくで,ゆるい雰囲気を持ったとても親しみやすいキャラクターの人物です。この彼の雰囲気が,WS全体の雰囲気を作り,子どもたちの活動の前提を作っていたように思います。
教員の方にお伺いすると,子どもたちは,今回のWSを非常に楽しみにしていたそうです。それは,写真家,アーティストという,子どもたちにとっては未知存在への興味,関心から派生したものではないでしょうか。
アーティストの訪問によって,普段とは違った時間がはじまり,子どもたちにとっては,ごく当たり前の空間=学校を,楽しみ,再認識する機会になったのではないかと考えます。50分程度の撮影活動時間でしたが,子どもたちは,グループで走り回り,撮影を心底楽しんでいました。

以上,ご報告まで。(幹)